鱗翅目グラビア撮影会

オオタアリサ・だつお,2013,『鱗翅目グラビア撮影会』.

最初に断っておくこととしてこれは不完全な漫画だ。それでも二人は5月のコミティア104に向けて再挑戦するということなので「完全版」を読むためのヒントとして書き留めておきたい。

二人はコミティアの終了時刻に現れたくらいだから製本は終わっていない。
まず、当初は一人ずつ別々の漫画を執筆する予定だったらしい。それがだつおのネームがついに完成しなかったため、オオタアリサのネームをベースにだつお側の要素を入れつつ二人で一つの話を作画した。そのためオオタが描いたページとだつおが描いたページが入り乱れている。

話は先生と生徒が富士山の見える場所にバスで行くけど、酔っていたので寝てしまって、富士山の見える場所で起きるところから始まる。それから砂と白鳥と小魚にまみれてセックスを始めて、関係なく富士山が噴火して放り出すように終わる。その途中に何度も細切れの回想シーンが入る(たぶん二人が初めてセックスしたときの回想)。ここで回想に入ります戻りますという漫画的な合図がほとんどないのでわかりにくい。「回想に入るのに合わせて作画担当を交代したのでわかるようになっている」と言っていた。ざっくりとだつおがバス乗車以降を、オオタが回想を担当しているようだが、そうでないページもある。

ネームを見せてもらうことができた。オオタアリサのネームは読み慣れた日本の漫画のフォーマットに則っていて読みやすい。ネームには導入となる描写が2ページあってずっとわかりやすい。だつおのネーム。だつおの書く台詞は知らない人の会話を盗み聞きしているような感じで、状況が説明される気配はない。絵にも漫画的な過剰な演出がない。

予想
難題を設けて完成を遠ざけているのはだつお。たぶんだつおは漫画らしくない表現で漫画を描こうとしている。いまのところそれはリズムが悪くなるとかなにが起きているのかわかりにくくなるとかいう結果を生んでいると思う。「サブカル的表現にはしない」というようなことを伝えられた気がするが、ポークというメッセージが一瞬だけ表示されるアプリケーションでの出来事だったので真意はわからない。それとはべつに今日のツイッターでは「もっと実用的なエロ漫画描きたい」と言っている。

5月までに完璧版が出来るのかあやしい。「鱗翅」はウロコとハネ、魚類と鳥類のこと。

  • だつおの情報
    不特定多数によって更新されるため管理できないよくわかる共同ウェブサイト(仮)
    http://datsuo.oboroduki.com/

この記事で言及した漫画が予告編としてアップロードされました。印刷された版にあった間違いが修正され、回想部分もコマ外が黒く塗られています。
【前編】鱗翅目グラビア撮影会 予告編
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=33509802
【後編】鱗翅目グラビア撮影会 予告編
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=33509829