通販の発送のため自転車で外に出た。深夜24時を回った頃のこと。同じ場所へ向かうのに違う道を通ることが多い。このときもあまり通らない道を曲がった。道端で抱き合う男女の横を通り過ぎるときピューウと口笛を鳴らす。そういう古いドラマの演出が好きで、できるようになりたい。もし、帰りにも同じ道を反対向きに走って、あの男女が抱き合っていたら、それでもう一度ピューウっとしたとしたら、どう思うのだろうか。馬鹿すぎる。そう思ってゆうメールを出した。
帰り道はまず同じ道を通ることにした。話はそれから決めればいい。どこで曲がったのかわからなくなっていたけれど、通り過ぎそうになった角の先にそのカップルが見えた。二人の抱擁は既に終わっていたが、向かい合い、距離は近くあった。通り過ぎながら頑張ってピューウをした。するや否や、二人がどう思い、どんな反応をするのかなどということは全身から消え、まったくどうでもよくなった。それどころではない。これが言いたかったことだ。とにかくとんでもなく恥ずかしくなってしまったのだ。